日本商業英語学会第61回全国大会発表 2001年10月21日 染谷泰正 (03/18)
2a 先行研究
1970年代以降の ESP 研究の中心は学術および科学技術分野。ビジネス分野における研究は大幅に立ち遅れてきた (Dudley-Evans & St John, 1996: pp. 1-13)。

EBP 分野での重要な研究が出始めたのは 1980年代以降。ハリディーの機能文法をベースにした研究が多い。例えば、ビジネス文書のレトリック構造に関する代表的な研究として Johns (1980) および Hyland (1998) がある。また、異文化比較という観点からビジネス文書の修辞構造を分析した研究に Jenkins and Hinds (1987), Nikerson (1993), Park et al. (1998) などがある。

本研究との関連で最も重要な研究のひとつは Ghadessy (1993) である。Ghadessy は、現在、談話構成分析のための理論的モデルとして広く採用されている Sinclair and Coulthard (1975) の Spoken Discourse のモデルを援用しながら、独自に構築したビジネス文書コーパスの分析に基づいて、概略、次のような簡易モデルをビジネス文書の構成分析のためのフレームワークとして提示している (Ghadessy 1993, p. 153)。 

I^(R/I)n^R 
where, 
I = Initiation; R = Response; ^ = followed by; ( ) = optional element.

これを文書によるビジネス・コミュニケーションのマクロ構造モデルとすれば、それぞれの "turn" に相当する一通のビジネス文書の内部構成は、およそ次のような公式で示すことができる (based on Ghadessy, op. cit., p. 163)。 
      M->GR^(RF^)AI^C^CC 
          where, 
          M = Message; GR = Greetings; RF = Reference to previous correspondence; 
          AI = Addressing the Issue; C = Closing; CC = Complimentary Close.
Ghadessy は、このようにまずビジネス文書によるコミュニケーションの基本的な構造的フレームワークを提示したのち、Hasan (Halliday and Hasan, 1985: Chap. 4) の Generic Structure Potential (GSP) の概念を援用しながら、次のように結論付けている。 

 “It is concluded that the chain-like quality of written business communication is a function of two obligatory elements, RF and C.” (Ghadessy, op. cit., p. 149. Partly modified.)

この結論から、Ghadessy はビジネス通信文において義務的な要素であり、かつその GSP を決定付ける RF と C の具体的な言語形式  (LRPs = linguistic realization patterns) についてさらに詳しい分析を行なっている。
 

 (2b  Ghadessy モデルの問題点)
(C) 2001 Yasumasa Someya

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